こんにちは、
今回は「総合栄養食」について、少し掘り下げてお話ししてみたいと思います。
ドッグフードのパッケージでよく見かけるこの言葉、みなさんはどんなイメージを持たれていますか?
多くの方が「これだけで栄養バランスが整っている安心なごはん」という印象を持っているのではないでしょうか。実際、私たちも昔はそう思っていました。でも、いろいろと学び、考える中で「総合栄養食とは何か」「それだけで本当に足りているのか?」と疑問を持つようになりました。
今回はその考え方について、お話ししていきます。
総合栄養食とは?
「総合栄養食」とは、AAFCO(アーフコ)というアメリカの団体が定める栄養基準を満たしたペットフードのことを指します。
AAFCOは1993年にドッグフードやキャットフードの栄養成分に関する基準を発表し、それが今も世界中で広く使われています。
つまり、総合栄養食とは「最低限必要な栄養素を欠かさずに摂れるように設計されたフード」ということになります。ここで大事なのは、「最低限」という言葉です。
たとえば、人間でいうと、毎日カ⚪︎リーメイトと水だけで生きる、みたいなものかもしれません。
生きてはいけるけれど、それが“健康的で豊かな食生活”かと言われると、少し疑問が残りますよね。
バランスが良いとは?
私たちが考える「バランスの良いごはん」とは、見た目にも彩りがあり、お肉も野菜も適度に入っていて、スープのような水分もあるような健康的な食事ではないでしょうか?
でも、総合栄養食の定義は「栄養素の数値が基準を満たしているかどうか」。
そこに「彩り」や「食感」、「楽しさ」といった要素は含まれていません。
だからこそ、私たちは「総合栄養食だけを与え続けるのは、本当に犬のためになるのかな?」という疑問を持つようになりました。
ペットフードの原点ってなんだろう?
ペットフードの歴史は古く、始まりは1860年頃。
イギリスの船乗りたちが牛の血や古い穀物、余った野菜を混ぜて焼いたクッキーのようなものを犬に与えていたのがルーツだと言われています。
そこから長い年月を経て、1993年にAAFCOの基準が作られました。でも、それから約30年が経過しています。
人間の栄養学は、毎年のように新しい研究が発表され、常識がどんどんアップデートされていますよね。食物繊維の推奨量が変わったり、以前は避けるべきと言われていた脂肪が実は必要だったり…そんな変化が日々起きています。
では、犬の栄養はどうでしょう?30年前の基準のままで本当に良いのでしょうか?
ドライフードの特徴とは?
多くの総合栄養食は、ドライフードとして販売されています。いわゆる「カリカリごはん」です。
このドライフードにはいくつかの特徴があります:
- 水分量が10%以下と、とても少ない
- 保存のために乾燥されている
- 食物繊維が少ないものが多い
もちろん、利便性や保存のしやすさという点ではとても優れています。
ただ、栄養バランスという面では、「足りないものもある」というのが正直なところです。
特に水分の少なさは気になるポイント。人間でも水分が不足すると体調に影響がありますが、犬にとっても水分はとても大切です。
トッピングで「本物のバランスごはん」へ
総合栄養食に疑問を感じる理由のひとつは、「あくまで最低限の栄養を補うための設計」であって、それだけで“健康で豊かな食生活”とは言えないからです。
そこで私たちは、「足りないものを足してあげる」という考え方をおすすめしています。
たとえば:
- スープのように水分たっぷりの手作りスープをかけてあげる
- ゆで野菜や蒸し野菜をトッピング
- 消化に良いフルーツを少し添える
- 良質なお肉や魚を少しプラス
こうすることで、わんちゃんのごはんに彩りが生まれ、栄養面だけでなく“食の楽しみ”も広がっていきます。
ペット先進国の常識にならってみましょう!
日本では、「ドッグフードだけで十分」と考える飼い主さんがまだ多くいます。
これは、動物病院などでも「ドッグフード以外は与えないでください」と指導されることが多いからです。
でもその一方で、私は獣医師さんからフレッシュフードを推奨された経験もありますし、方向性は考え方によって様々です。
そこで欧米やオーストラリア、ニュージーランドなどのペット先進国を見てみましょう。
そういった国々では、「ドッグフードに足りないものは足してあげよう」という考え方が一般的。
手作りのスープをかけたり、お野菜を加えたりする「ひと手間」は、愛犬の健康のために当たり前のように行われています。
食べる楽しさは、QOLにつながる
私たち人間にとって、「食べること」は人生の楽しみのひとつですよね。
それは、わんちゃんにとっても同じです。
もしかしたら娯楽が少ない分、わんちゃんにとっては私たち以上の楽しみを感じているかもしれません。
栄養だけでなく、「味わう」「香りを楽しむ」「毎日の食事がちょっとワクワクする」ことが、
わんちゃんの心と体の健康につながります。
QOL(クオリティ・オブ・ライフ)。つまり、「生活の質」は、食事によって大きく左右されるんです。
だからこそ、私たちは総合栄養食に頼り切るのではなく、「足りないものを足す」「楽しみを加える」ことで、
毎日のごはんをもっと豊かにしてあげてほしいと思っています。
総合栄養食は、「最低限の栄養がとれる設計」のごはん。
でも、それが「完全な栄養食」ではないことを知っておくことが大切です。
本当の意味での“バランスの取れたごはん”とは、
- 彩りがあり
- 水分も適度にあって
- 栄養が自然のかたちで含まれている
そんな食事だと、私たちは考えています。
毎日のごはんに、ほんの少しの“ひと手間”を。
それだけで、わんちゃんの毎日は、もっともっと豊かになるはずです。
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